現在、家庭内暴力 (DV) は大変大きな社会問題となっております。夫から妻へのDVによる死亡事件は年間100件を超え、また、虐待による死亡事件は年間50件を超えています。3日に1人の妻の、または、1週間に1人の子どもの、尊い命が奪われております。加害者の多くは、自身も子どものころ虐待を受けた、もしくは父親から母親への面前DVを目撃した被害者であることが分かっています。また、虐待の前段階で、父親から母親への暴力や暴言などのDVが行われているケースも少なくありません。その場合は、父親の暴行のターゲットが母親から子どもへと移っていくケースと、父親の暴力からのストレスをため込んだ母親が子供へと暴行していくケースが見受けられます。
DVで最も恐ろしいことは、被害者が増えていく・被害者が加害者化していく、という負の連鎖が起きることだと考えられます。
家庭という密室の中で行われるDV・虐待行為は、身体的に弱い女性と子どもの人権が奪われて、夢や希望までも奪われていくことになり、最悪のケースは命までも奪われてしまいます。このような行為は明らかに犯罪であり、被害者は助けられ守られなければなりません。身体的弱者である女性と子どもが、家庭の中の暴力行為によって命が奪われるということは、根絶しなければならないと強く願っています。そして、被害者がどんなに辛い経験をしてきたとしても、ほかの人と同じように夢や希望をもって生きていける社会でなければなりません。
DV対策センターは、すべての女性と子ども達が夢と希望を育んで生きていける社会を目指して、2020年3月31日に発足いたしました。
当団体では、現在、以下の業務を行っております。
- DV・虐待に苦しむ被害者の相談
- 一時避難所の提供および紹介
- 当事者同士による交流会などの居場所の提供
- 母子家庭の子ども達のための教育支援
- 母子家庭のための就労支援・フードバンク支援
当団体のスタッフの多くは、当事者として苦難をのりこえてきた者です。専門の心理カウンセラーもおりますので、安心してご相談いただけます。
緊急事態宣言が出された後は、お母さんが働いているために1人で留守番せざるを得ないお子さん、あるいは、精神疾患を抱えた家族がいて家では勉強ができないお子さんのみの学習支援を行っています。ZOOMなどを使用した遠隔支援を中心に、どうしても家では辛いおこさんは、一部屋1人ずつ受け入れて、短時間の学習支援をしています。学習支援が必要な方も、ご相談ください。
代表・穂志乃愛莉の想い
私は、幼い頃父親から殴られたり蹴られた経験があります。怒るとゴルフクラブを振り回すので、家の中は穴だらけでした。
こんな家庭環境にいたせいか、男性に対して好きという感情はよく分からないままでしたが、年頃になって興味が湧くことはありました。しかし、優しい男性と付き合うと気持ち悪くなってしまうという症状に悩まされたのです。
結局、父親と同じ冷たさを持つ人に安心してしまい、これが好きだということなのか、と勘違いして付き合うことが多くあり、優しい男性からは縁遠くなってしまったのです。(被害者の連鎖)
また、父親から母親のモラハラ・暴言を見て育った男性が、自分は父親みたいには絶対なりたくない!と言いながら、結婚したら同じような言動をしてしまう、という話はよく聞くことです。(加害者の連鎖)
これらは、すべて虐待やDVの連鎖を受けた結果です。私は連鎖の怖さや仕組みについて学び、連鎖を防ぐための支援が必要だということに気づいたのです。
虐待・DVは、連鎖させないことが最も大切です!そのためには、様々な価値観を学び、自分の気持ちを自分でキャッチして、きちんと相手に伝えることが大切です!そして、何より対等な人間関係を作ることが大切となるのです。
横浜市青葉区は主婦の自殺率が日本一です。横浜市北部は子どもの不登校率がとても高く、潜在的な虐待も多く疑われているものの、表に出にくいという課題を抱えています。
私は、この横浜市から、虐待を経験している子ども達やモラハラで苦しむ女性、毒親から離れたい若者を救いたい!と思い、立ち上がりました!
このような方でも入れるシェルター運営をすることにより、全国の虐待を経験した子ども達を受け入れ助けています。児童相談所と違い、年齢・性別問わず、母親と離れずに避難することができます。
そして、連鎖を防ぐ活動をすることで、全ての子どもと若者、女性が夢と希望を思い描いて生きていける社会を目指しています!
現在、登録している子どもは400名を超えました。毎月100名以上の子ども達に食品やお弁当の配布をしています。
避難中、学校に行けない子どもや虐待の影響で不登校になった子には、学習支援をすることで、近隣の小中学校で出席扱いにしてもらえます。
エンパワメント講座で、対等な人間関係や正しい倫理観を学び、DV・虐待の連鎖を防ぐために取り組んでいます。
虐待を経験した子どもは、対等な人間関係を作ることが苦手です。自分より上か下かで相手を見てしまうのです。自分より強いと思うと取り込まれていこうとするし、自分より弱いと思うと取り込んでいこうとしてしまうのです。それが行き過ぎるとDVや虐待へと繋がってしまうのです。
よって、連鎖を防ぐためには、対等な人間関係を作ることがとても大切なのです。
子ども達の明るい未来こそ、日本を明るい未来へと導いてくれます。
虐待を経験した子ども達が愛や道徳を学び、社会で活躍できる人として成長していけるために、一緒に応援してください!
NPO法人DV対策センター 代表理事
穂志乃 愛莉