顕在化するDV

内閣府男女共同参画局によると、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた2020年度のDV相談件数は18万2,188件で、2019年度の約1.5倍に達しました (全国の配偶者暴力相談支援センターとDV相談プラスに寄せられた件数)

私たちが扱った相談や避難支援も増加していて、2022年の相談件数およびシェルター利用者は前年の約2倍になりました。

身体的暴力だけではないDV

DV = ドメスティック・バイオレンスと聞くと身体的な暴力を連想しがちですが、それだけがDVではありません。言葉による暴力 (モラルハラスメント) などによる精神的DVや、生活費を渡さない・貯金を勝手におろすといった経済的DVなど、目に見えない・外傷を伴わないDVも多く存在しています。

内閣府男女共同参画局が実施している「DV相談プラス事業」の窓口に寄せられた相談をテーマ別に分類すると、最も多いのは精神的DVで、相談総数の60%以上を占めています。

  • 『令和3年度後期 DV相談プラス事業における相談支援の分析に係る調査研究事業報告書』図表2-62をもとに作成 (複数回答のため合計は100%にならない)

公的シェルターの制約

DV被害者を加害者から隔離・保護するシェルターのうち、行政が運営する公的シェルターは都道府県に一か所以上あります。しかし、その多くは、身体に目立つ外傷を受けた方を優先する傾向にあり、精神的DVなどの『見えないDV』に苦しむ被害者の支援は後手に回ってしまうことが多々あります。

また、一緒に入居できる子どもの年齢や人数に制限があるほか、加害者に発見されるのを防ぐために携帯電話やスマートフォンを預けなければならない、仕事を辞めなければならないなど、避難後の生活が著しく制限されます。このため、シェルターへの避難を諦めてしまう方も数多くいます。

民間団体の役割と課題

私たちのような民間団体は、このような行政による支援の枠から外れた方々を救い上げることを使命としています。公的シェルターに比べると生活上の制限は少なく、安全を確保しつつ、避難者のニーズに柔軟に応えることができます。

一方で、多くの民間団体が不安定な経営基盤の上に成り立っています。私たちもこの問題を抱えています。

DV・虐待・貧困の連鎖を防ぐために

DV問題は、暴力から逃れたら終わりではありません。避難後のアフターフォローこそ重要です。

DV避難者の多くは、精神的な後遺症などが原因で就業が難しくなります。また、対人関係に恐怖心を抱きやすく、母子ともに引きこもりになってしまうケースも多く見受けられます。
このような避難後の経済的行き詰まりや孤立が、DV被害に遭った母子の将来に大きな影響を及ぼします。DV被害を受けた方々が、やがてDV加害者になってしまうケースも少なくありません。まさに負の連鎖です。

私たちは、母親向けのカウンセリング、食支援や教育支援、居場所支援に至るまでの包括的なアフターフォローを行うことで、一つでも多くの負の連鎖を断ち切りたいと考えています。

私たちの活動

私たちは2020年にDV対策センターを設立して以来、横浜市内で5か所の民間シェルターを運営し、これまでに累計3,136名の方にシェルターを利用していただきました。また、年間600件以上の相談支援や、延べ2,656名への食支援を行いながら、被害者の自立を支えています。(2023年2月現在)

5か所
シェルター運営
3,136
シェルター利用累計
600件/年
DV相談支援
2,656
食支援累計

連鎖を止めるために大切なこと

DVや虐待は高い確率で連鎖することが分かっています。私たちが実施したアンケート調査によると、DVの被害者も加害者も、その半数以上の方が幼少期に虐待や面前DVがあったという結果になっています。

しかし、この連鎖は、環境によって改善されることも分かっています。私たちは、この連鎖を防いでいくことこそが、DV・虐待の根絶につながると信じて、親の離婚を経験した子どもたちへの支援を行っています。

親の離婚を経験した子ども達への支援

DV対策センターでは、避難中・避難後の子ども達の学習支援を行っています。近隣の小中学校と連携し、不登校になってしまった子も、私たちが運営する居場所で学習すれば出席扱いにしていただいています。これまでに延べ1,875名の子ども達が私たちの学習支援を受けました。

1,875
学習支援累計
(出席扱い数)

避難してくる子ども達の多くは、虐待や面前DVを受けた影響で対等な人間関係を作ることが苦手です。自分より上か下かで人を判断したり、圧をかけて言うことを聞かせたりなど、極端な表現でしか自分の気持ちを伝えられない子もいます。
2022年からは、このような子ども達向けにエンパワメント講座を開催しています。対等な人間関係の作り方、義務と権利、自由と責任、18歳成人について、SNSの正しい使い方、大切にしたいものなど、ラボ形式で毎回10名以上の子ども達が学んでいます。

継続的・包括的な支援で夢と希望を

私たちが支援した事例の一つをご紹介します。

Aさんは、夫からの長年のモラハラ・暴言に耐えかねて、3年前に家を出ました。一緒に避難したBくんは、虐待の影響で人を怖がるようになり、不登校になってしまいました。Aさん自身も、長年の暴力により精神疾患を患い、家事や育児もままならず、仕事もできないため、生活保護を受給しています。

私たちは、Bくんのようなお子さんに学習支援や居場所支援を行っています。こうしてお母さんが休める時間をつくることで、お母さんの精神状態の悪化を防ぎ、ネグレクトや虐待などのリスクを軽減できます。

Bくんは中学校にはほとんど行けませんでしたが、継続的な学習支援と本人の頑張りの結果、無事に高校への進学が決まりました。将来は好きな料理を作る仕事に就きたい、と夢を語ってくれるようになりました。

夢と希望を思い描いて生きていける社会を目指して

私たちは、DV・虐待被害を受けた方たちが再び社会とつながり、自分らしく幸せな未来を歩んでいけるよう、切れ目ないサポートを行っています。

私たちのこうした活動は、ご支援者様からの寄付金や助成金によって成り立っています。今後も包括的な支援を続けていけるよう、継続的に支援してくださる「マンスリーサポーター」を募集しています。

500円

居場所にいるこども一人のおやつ3回分に充てることができます。

プラン
1

1,000円

DVから避難した母子および若者1組に3日分の食品をお届けすることができます。

プラン
2

3,000円

子どもたちの学習支援のための教材を3~5冊買うことができます。

プラン
3

5,000円

虐待を受けた影響で不登校になった子どもや放課後の子どもに、英語教室などの学習支援を1週間分 (週3回) 提供できます。(当団体の支援を受ける子どもたちは、近隣小中高校で出席扱いとなります)

プラン
4

10,000円

DVから避難した母子や若者を5日間受け入れることができます。

プラン
5

支援を必要としているDV被害者の数に対して、資金がまだまだ足りていません。

1日17円 (月500円) からのご支援で、すべての女性と子どもたちが夢と希望を思い描いて生きていける社会を、私たちとともに創っていきませんか。

2023年度マンスリーサポーター目標数: 100
67%
現在67
(2023年11月8日現在)
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VISA、Master Card、JCB、American Express、Diners Club

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下記のいずれかの口座に直接お振込みください。
メッセージ欄・お振込用紙の通信欄に「DV寄付」とご記載ください。

みずほ銀行

金融機関コード 0001
青葉台支店 (395)
普通 3027975
トクヒ)デイーブイタイサクセンター
特定非営利活動法人DV対策センター

住信SBIネット銀行

金融機関コード 0038
法人第一支店
普通 1667397
トクヒ)デイーブイタイサクセンター
特定非営利活動法人DV対策センター

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